ACKU第133回例会山行速報


西穂高・奥穂高・槍ケ岳縦走


(記録)井上薫、(編集;記録文章を添削:田中信行) 
(写真1〜11)田中信行(写真12〜13)高田和三

期 日;平成21年 8月23日〜28日(5泊6日)

参加者; 壷阪祐三、高田和三、井上 薫(幹事)、田中信行(26日下山) 4名

 
 初めに;
 
 西穂高・奥穂高間の鋸の歯のようなギザギザした岩場の険しい長大な稜線、そして大キレットを、若い頃からいつか踏破したいと望んでいた。憧れの縦走にいよいよ出発。緊張と少し不安を抱きながら。


◇ 8月23日

8:00 車に乗り込み4人で宝塚を出発。名神・東海北陸自動車道を乗り継ぎ、高山から新穂高温泉に到着。ロープウェイを乗り継いで2,156mの西穂高口へ。

・15:35 千石尾根の登山道が始まる。針葉樹林の間から、これから登る独標、西穂高岳、ジャンダルム、奥穂高岳、南岳、槍ケ岳までが一望できる。

(写真―1
)西穂高口から穂岳連峰を望む

体力的、技術的に登れるだろうか?期待と一抹の不安が交錯する。

・17:10 2ピッチで西穂山荘に到着。

(写真―2)
西穂高山荘にて

◇ 8月24日


・山荘を5:00出発。快晴だ。今日の行程は長いので先を急ぐ。

・6:20 眼前に西穂独標、岩場を登る。

(写真―3)西穂独標の岩場を登る

・8:55 西穂高岳山頂2,909mで記念撮影。

(写真―4)
西穂高岳山頂

山頂からは奥穂高岳が真正面に聳え立っている。

(写真―5)西穂高岳から奥穂高岳を望む

 前穂高岳、明神岳が望まれ、槍ケ岳が遠望できる。後方には乗鞍岳その影に御岳が望まれる。

・9:20 西穂高岳北面の下りは危険個所、振り返って納得する。

(写真―6)西穂高岳北面を振り返る

・11:30 間天のコル、予定時間より遅れている。明るい時間帯に奥穂高岳まで登るきることを全員で確認する。逆層のスラブを登ると天狗の頭だった。

・14:00 天狗のコルに降り立った。切り立った岩場をクサリを利用しながら、三点支持で登って行くと、ジャンダルムの大岩峰が迫ってくる。

・16:00 コブ尾根の頭。いつしか畳岩尾根の頭を通り過ぎていた。ジャンダルムは鉄杭とクサリを利用しながら、岳沢側をトラバースする。ロバの耳もクサリを利用しながら高度感あるトラバースをし、眼前の岩峰を直登する。切り立った馬の背の向こうに奥穂高岳頂上が見えた。やがて頂上で待っている壷阪兄を確認、一足先に小屋に下りてもらう。

・18:10 奥穂高岳頂上 3,190mに立つ。素晴らしい夕焼けの景色が展がる。

夕闇迫る中、パトロール員に記念撮影して貰う。

(写真―7)
奥穂高岳頂上の3人

 (写真―8)雲海に浮かぶジャンダルム

(写真―9)茜色の雲海にシルエットのジャンダルム

(写真―10)雲海の彼方に槍の穂


滅多にないシャッターチャンスに恵まれた。

急いで薄暗くなってきた中を穂高岳山荘へと降りる。途中でとっぷりと日が暮れ、ラテを頼りにクサリ、ハシゴを利用しながらひたすら降りた。出発から14時間が経過した。

・19:30 白出のコルに立つ穂高岳山荘に到着。他の宿泊客は既に済んで折り我々だけの遅い夕食をとる。

◇ 8月25日


・6:30小屋を出発。

(写真―11)
早朝、穂高岳山荘にて

・7:00涸沢岳頂上3,110m。穏やかな稜線は僅かだけで急激な降りが始まる。クサリ、ハシゴ、鉄杭を利用してぐんぐん降る。昨日のハードワークで足・膝に力が入らず、ペースがゆっくりとなる。息も直ぐあがる。

・9:00 涸沢槍。クサリ、ハシゴが連続する長い長い降りを、最低鞍部である涸沢のコルまで降る。今度は一転急激な登りとなり、奥壁バンドをクサリ、ハシゴを利用して登る。

・10:40 南峰から一旦降って北穂高岳北峰3,110mに登り直す。なかなか手応えのある縦走ルートだった。北穂高小屋で温かいコーヒやお茶を沸かしながら昼食をとり、後続組2人(壺阪、田中信)を待つ。

・11:50 北穂高小屋から即大キレットとなり、クサリ、ハシゴ、鉄杭を利用して真直ぐに降る。ここで筋肉痛のため、涸沢から上高地に下山する田中信行兄と分かれる。

痩せ尾根になった長谷川のピークにクサリ、ステップを利用して登り、クサリを利用して通過する。何度も何度もクサリ、ハシゴ、鉄杭を利用して直登、浮石の多いザレた所を登りきると、「危険箇所終り、小屋迄10分」の立て看板がある。やっと大キレットが終了した。

・16:30 南岳小屋着。

◇ 8月26日


・6:20 今日は行程が短くゆったりした気分で南岳小屋を立ち、直ぐに南岳頂上3033mに到着。

(写真―12)南岳頂上にて

3,000mの稜線のゆったりした縦走が初めて始まる。昨日までと違った広い尾根散歩だ。

・10:00 槍ケ岳山荘に到着。荷物を山荘に預けて頂上に登る。クサリ、ハシゴがしっかりと取り付けられており安心して登れる。

・11:00 槍ケ岳頂上3,180m着。

(写真―13)
槍ケ岳頂上にて

◇ 8月27日


・6:00 今日はいよいよ飛騨沢コースから蒲田川右俣谷を通って新穂高温泉に下山だ。下山は待ちどうしいような寂しいような気持ちだが体は休養を欲している。

・8:50 槍平小屋で ミネラルたっぷりの沢水を沸かしてお茶、ココアを思い思いに十二分に飲み、ヨウカン、ソウセージなどをお腹一杯食べる。滝谷出合で遭難者の鎮魂のため読経をし、新穂高温泉に降りる。温泉でゆっくり汗を流し、個室の総檜造り源泉かけ流しの露天風呂で殿様気分となり、翌28日飛騨古川、神岡を廻って大阪へ。



・最後に;体力的、技術的に久し振りの厳しいコースだった。年齢からくるパワー不足、スピード不足を痛感した山行だったが、天候に恵まれるとともに、全ルートに標識があり、クサリ、ハシゴ、ステップ、鉄杭でルート整備がされていてなんとか踏破できた。同行の皆様、ACKUの皆様、み仏さまに感謝致します。

(井上薫記)